100年前から続く想い

昨年100年ほど前にニューヨークで撮影された写真が、お客様の遺品整理によって見つかりました。その写真の台紙表紙には、当時のらかんスタジオのロゴが書いてあるのですが、皆さんは何と書いてあるか読めますか?

刻印ロゴ
台紙に刻印された LAQUAN STUDIO のロゴ

らかんスタジオで働くみなさんであれば『LAQUAN STUDIO』と読むことができる思います。少なくとも昨日までの私は、疑いもなく『LAQUAN STUDIO』と読んでいました。

しかし、この写真を発見したご子孫たちは、『LAQVAN』ってなんだろう、どう読むのだろうと不思議に思ったそうです。「STVDIO」はきっと「STUDIO」のことだろうと気付き、ということは『LAQVAN』じゃなくて『LAQUAN』ではないだろうかと判断した そうです。このエピソードを聞いた時、「いやいや、 LAQUAN STUDIO って書いてあるじゃないか。そんなに読みづらいかな…?」と心の中で思っていました。

時は過ぎ、ふと「BVLGARI」(ブルガリ)って変な綴りだなあと思ってネットで調べてみると、『U』は比較的新しい文字で、中世では U V の区別がなかったそうです。1905年にローマに本店を開くときに、『最初から歴史や伝統があるように感じさせたい』という考えのもと、Uを Vに置き換えて『BVLGARI』と綴ったそうです。

これは私の推測ですが、私たちの目には『LAQUAN STUDIO』と見えていましたが、実は『LAQVAN STVDIO』だったのではないでしょうか。らかんスタジオ創業者の鈴木清作さんもブルガリと同じような想いから『LAQVAN STVDIO』と表記したのではないでしょうか。「らかん」という名前 は、アメリカに住む人々にとって聴覚的にヨーロッパの雰囲気を感じさせる響きを意識したという話を聞いたことがあります。聴覚的な響きだけでなく、視覚的にも中世ヨーロッパを感じてもらえるように『LAQVAN STVDIO』と表記したのではないでしょうか。

時は100年過ぎ、らかんスタジオでは『クラシック』 にこだわり続けています。ひょっとしたら清作さんのこんな想いが脈々と受け継がれているのかもしれません。