私が小さい頃、我が家に来客があると母はたくさんのおもてなし料理を振る舞っていた。テーブルの上に並べられた数々の料理の中から、一品ずつ”選ぶ楽しみ“がそこにはあった。
スターターとしてのちょっとした冷菜や時間が経っても美味しいマリネ、お箸で摘みやすい形に形成されたお肉料理など、普段の家庭料理とはまた違う工夫がなされていた。自分が歳を重ねた今、人をもてなす際に母と同じようなメニューを作っていることにふと気が付く。
いつもよりちょっぴり豪華だけれども主張し過ぎず会話の脇役になる、そんなおもてなしのメニューを考えるのはいつでもワクワクするし、当日それぞれの料理を出すタイミングをアレンジするのも楽しみの一つだ。
じんわりと、「あぁ、あの時のあの料理また食べたいなぁ」と後々思い出してもらえたら最高に幸せだ。