吉祥寺の写真館

昭和30年代は写真館のほか、写真材料店、DP店も数多くありました。

昭和 30 年代の吉祥寺周辺の営業写真館の状況についてお話いたします。

駅の北側には「らかんスタジオ」より北に向かって左回りに見ると中道 通りに「臼井写真館」、公園通りには西側に「トミノ写真場」、東側に「桑田写真館」、五日市街道を少し越した西側に「山本写真館」、駅前通りに「チトセスタジオ」、駅の東側に「杉浦写真館」と「ヴァンスタジオ」で 8 軒。駅の南側には「柴写場」と御殿山に「石川写真館」が 2 軒。1kmくらいの間になんと10 軒の写真館がありました。

そのほとんどがスタ ジオ撮影だけで生計を立てていたのですから驚きです。もっとも当時は、 自分の持ち家であれば 1 日 1 件の撮影があれば食べていけた時代だったそうです。

この10 軒の写真館で現存しているのは、「ヴァンスタジオ」が成蹊大学の近くに移転し営業。チトセスタジオは貸店舗業に、トミノ写真場は藤村学園前で貸しビル業に転向し、あとは徐々に廃業してしまいました。

その理由の多くは、後継者がいないからでした。 唯一、吉祥寺で生き残った「らかん」は観が跡を継ぎ、さらにスタジオを発展させています。観が誕生した時、多くの方々から「お世継ぎが生まれてよかったですね」と祝福されたのを憶えております。